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おすすめ協奏曲(その2) |
アシュケナージの「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1〜4番」
アシュケナージは現代最高のピアニストで指揮者。
その演奏は、ピアノにおいても指揮においても、単なる「巨匠風」「大家風」という言葉では片付けられない。
常に新鮮さに満ち、溌剌とした柔軟な音楽表現で、作品の内面に潜む感性や表情の機微など、作曲家が伝えようとした本質そのものを表現できる随一の存在といえるだろう。
レパートリーは古典派から現代まで幅広いが、ベートーヴェン/ショパン/シューマン/ラフマニノフなどの作品で、特に叙情溢れる屈指の名演を繰り広げている。
指揮者としても才能を発揮し、2004年からNHK交響楽団の音楽監督を務めてきたが、2007年8月に辞める予定(残念!)
さて、ここで紹介する「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1〜4番」だが、これまた「のだめ」で一気に有名になって嬉しい。
どの曲もロマンチックで情熱的で耽美的です。(僕自身は共演したことがある2番が好きです。あの分散和音(アルペッジオ)で始まる出だしを聴いただけで鳥肌が立つ。)
しかし、これだけの名演奏で、しかもCDが2枚で、この値段でいいの?安すぎない?(いいんだけど。)
●ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集〔第1番〜第4番〕アシュケナージ(p)
●ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1〜4番
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冒頭で撃たれる!グリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲
フィンランドを代表する作曲家がシベリウスなら、ノルウェーを代表する作曲家はグリーグだろう。
1968年、「北欧のショパン」として一躍グリーグの名前を有名にしたのが、このピアノ協奏曲だ。
曲は全体的にロマン的な雰囲気であるが、あくまでも北欧独特の清冽な透明感に満ち、ピアノ協奏曲として人気が高い。
とくに第1楽章冒頭のピアノは、かっこいいぞ!
初めてプロの演奏家と共演するためのリハーサルで、この冒頭を聴いただけで、僕は持っていたトランペットを落とそうとしたくらいだ。
ノルウェーの代表的な文化人として、劇作家のイプセンがいるが、そのイプセンと共同で作り上げた名作が『ペール・ギュント』。
この曲も是非、聴いてみよう!
さて、本アルバムだが、音自体の持っているリアルな重い実在感という点で、リヒテルほど底知れぬ凄みをもったピアニストはいないだろう。
このロマン派の2大ピアノ協奏曲でも、リヒテルのピアノは絶好調だ。
特にグリーグは雄大な第1楽章冒頭から、構えがすばらしく大きく、休符には意味がたっぷり含まれている。
祈りの第2楽章でも消え行く音の余韻をたっぷりとり、思わず息を呑むほどの深い溜めの効いた音楽になっている。
巨大な氷の絶壁を思わせる第3楽章では、リヒテルならではの気迫の「獅子の一撃」が音楽の本質をわしづかみにする瞬間が幾度も待っている。
シューマンでも、幻想的なロマンティシズムの極致とも言える第1楽章、エレガントで間奏曲的な第2楽章、華やかに沸き立つ第3楽章、どこをとってもピアノはピンと張りつめた緊張感を持続し、鋭く非凡な存在感を放っている。
マタチッチ指揮モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団も、明るい音色で心をこめてリヒテルに寄り添い、特に緩徐楽章は好感がもてる。
巨匠リヒテルと巨人マタチッチが共演したスケールの大きなグリーグとシューマンのピアノ協奏曲。
ところで、どうでもいいのだが、この2曲、同じ曲に聴こえてしまうことがあるが、まぁ、2曲とも名曲なので、別にいいのだが。
●グリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲
●グリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲
★グリーグ:ペール・ギュント第1組曲&第2組曲
●グリーグ:「ペール・ギュント」第1・第2組曲
●グリーグ:ペール・ギュント組曲第1番&第2番
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