おすすめ協奏曲(その1) |
ラプソディー・イン・ブルー
アントルモンのふくよかなピアノの音色が魅力的な演奏。
ジャズとクラシックの見事な融合が聴けるガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」など、アメリカの有名曲を集めたアルバム。
オーマンディがフィラデルフィア管弦楽団を振って、本場ならではの演奏を聴かせてくれる。
カラヤンしかり,オーマンディしかり。
やはり並の指揮者ではこうした曲を楽しませられない。
少しもイヤ味にならずにツボを心得た表現は,強烈な個性には欠けるものの,オケがとびきり上等なこともあって,ゴージャスな喜びを与えてくれる。
名匠の技だ。
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ラフマニノフのピアノ協奏曲
自ら組織したポーランド祝祭管を弾き振りしてショパンの協奏曲を録音以来のツィマーマンの新録音。
収録曲は、映画やTVなどでも使用されたことで最近のヒット曲でもあるラフマニノフの協奏曲を収録。
バックは国民的人気を博す小澤征爾と、ウィーン国立歌劇場の音楽監督に小澤が就任するまで長くコンビを組んだボストン交響楽団という大変豪華な組み合わせです。
2004年度レコード・アカデミー賞銀賞受賞。
言葉を失うほどの素晴らしさだ。
ラフマニノフのピアノ協奏曲というと、「第2番」「第3番」のみがメジャーな印象があるが、あまり演奏されない「第1番」が含まれているからといって、このCDを聴くのをためらう人がいるとしたら、それは“大きな損失”であると断言できる。
あのショパンのピアノ協奏曲の名演以来の、ツィマーマンの強烈な一撃が待っている。
「第1番」の冒頭から、聴いてすぐにパッとわかる。
ラフマニノフのピアノ協奏曲が、これほど火のように熱く、燃えあがるような精神によって演奏されたことがあっただろうか?
ツィマーマンのピアノは、輝かしいだけではなく、どっしりとした根を大地に生やしたような、落ち着いた風格がある。
だからこそ、ちょっとした装飾音、パッセージでも稲妻のようにきらめく様は、目がくらむほど鮮やかだ。
小澤のバックがまた迫力満点で、粘っこい歌でツィマーマンのピアノにぴったりと寄り添う。
「第2番」はさらに凄い。
有名になりすぎたあの冒頭からして、演奏の格が違う。
一つひとつの和音の間に異常に間をとりつつ、単なる鐘の音の模倣というよりは、聴き手の心の一番奥底に届けとばかり渾身の思いを込めた分厚い音の塊が、何と肉感的に、そして感動的にぶつかってくることだろう。
夢見るような旋律に彩られているがために、恋愛映画的ななよなよした感傷性と結び付けられてしまいがちなこの曲が、巨樹のような厳しい存在感を放っている。
小澤のバックも、グラマラスで重心の低い、意志的な響きと弾力的なリズムが、こたえられないほどの快感を与えながらぶつかってくる。
録音も美しい。
芯の強くまろやかなピアノの音を十二分に伝えながら、オーケストラの細やかな雰囲気も残した適度な残響のバランスが見事。
アシュケナージ、リヒテルらの名演を聴きなれた人にも、ぜひおすすめしたい1枚である。
●ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番・第2番
●ラフマニノフ1. ピアノ協奏曲 第1番 嬰ヘ短調 作品1 2. ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
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孤高の天才リヒテルと説明不要のカラヤンというガチンコ勝負
『チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番』と『ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番』というトンデモナイ(超名曲同士の)組み合わせのCD。
しかも孤高の天才リヒテルと説明不要のカラヤンというガチンコ勝負。
二人ともやりすぎじゃないかと思うほど熱いぜ!!
濃ゆくて情熱がホトバシル音楽が聴きたかったら、この1枚だ。
巨匠リヒテルが壮年期に残したチャイコフスキーとラフマニノフの“凄絶”な名演が堪能できる。
このCDは20世紀が残してくれた遺産、宝物だ。
それをこうして21世紀の、しかも「自室」で聴くことができる奇跡! 感涙ものです。
いいのかな〜〜。これほどの音楽がこんな値段で(嬉しくていいんだけれど)。
ホント、レコード(蓄音機)を発明したエジソンさんには感謝するよ。(ついでにCDを発明した人にも。)
ちなみにエジソンはレコード(蓄音機)を発明した際に、この発明品は「遺言」等の大事な言葉を記録するという用途を想定していた。
ところが、世間では「エンターテイメント(娯楽)」の音楽の録音なんぞに使ったものだから、エジソンおじさんは怒ったらしい。
でも、世界で最初のレコード録音もエジソン本人の彼が歌った「メリーさんの羊」だったよな、たしか・・・・・・。
●ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番|チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
●チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
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「メンコン」と「チャイコ」のバイコン
●ヴァイオリニスト:ハイフェッツ(ヤッシャ) , シカゴ交響楽団 (演奏), ボストン交響楽団 (演奏),
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲をクラシックファンは「メンコン」と呼び、愛してやまない。
優美で洗練された、甘いメロディが冒頭から、あなたを包んでくれる。
メンデルスゾーンは、そもそも裕福な家で生まれ、祖父は有名な哲学者、父は銀行家、というお坊ちゃまだった。
あらゆる貴族的な教養を身につけ、しかも気立てが良い、という、まことに羨ましい限りの優等生な人生を送っている。
そのメンデルスゾーンならではの曲が、この「メンコン」だ。
第1楽章から最終楽章まで魅惑的で、聴く人の心をとらえずにはおかない。
一方のチャイコフスキーもメロディアスな曲作りにかけては右に出るものがいないほど、うまい曲を作る人だ。
通常、四大ヴァイオリン協奏曲と言うと「ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーン、チャイコフスキー」となる。
前者の2曲に比べると、後者の2曲は女性的で洗練された印象を受ける。
ところで、このアルバムのヴァイオリニストのハイフェッツは、その甘美に流れやすい2つのヴァイオリン協奏曲をクールにきりりと端正に、そして技術的には完璧に弾きこなしている。
かと言って、曲が持つ洗練さは失われてない、という稀有な演奏になっている。
僕としては、そのほうがむしろこの2つの曲の本質を突いているような気がして、気に入っている。
4大ヴァイオリン協奏曲のうち2曲が聴ける、このアルバムもまた、クラシックファンにとってはありがたい一枚であると同時に、ヴァイオリン協奏曲入門としても最適なアルバムとなっている。
●ヤッシャ・ハイフェッツ/メンデルスゾーン&チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲)
●メンデルスゾーン & チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 他
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『濡れる』ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲&ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲
ヴァイオリン:チョン(キョン・ファ) , ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 (演奏), テンシュテット(クラウス) (指揮)
チョン・キョンファの魅力が思う存分に発揮されているヴァイオリン協奏曲の名盤だ。
とにかく艶っぽい!! そこに賛否の分かれるところだろうが、僕は好きです。
天才の才能に圧倒されるのは一種の快感ですから。
チョン・キョンファは曲想を丁寧に、丁寧に弾いてみせる。
しかも、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はライブ録音とあって、緊張感もほのかに漂い、CDで聴いているあなたを一流のエンターテイメントの夜に誘ってくれることだろう。
ベートーヴェンはちょっと堅苦しくって、という人には「濡れるベートーヴェン」を知る、うってつけの演奏になっている。
このアルバムにに収録されているブルックナーのバイコンもいいぞ。
う〜〜ん、文句なしの名演奏だ。
●ベートーヴェン,ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲
●ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲(シェリング:バイオリン、ロンドン交響楽団)
「バイオリン協奏曲の王者」と言われる曲だが、演奏者が良くないと、ヴァイオリンがただ、音階を上下にしているだけの退屈な曲に聴こえてしまう。
この演奏にそんな心配は無い。
厳しく律したヴァイオリンながら、この上ない美しさも持ち合わせるシェリングの、独得の格調高い音楽美が味わえる。
指揮もまた一分の隙もなくヴァイオリンに添っている。
初心者にはちょっと退屈に聴こえるかもしれないけれど、よく聴くと、なんだか懐かしい気がしてくる、不思議な曲です。
特にこのアルバムに収録されている「ロマンス」はいい!
●ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲/ロマンス第2番
●ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
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BGMには不向きだがブラームス : ヴァイオリン協奏曲ニ長調・ムター演奏、カラヤン/ベルフィル
交響曲と同様に、ブラームスの協奏曲もまた「重厚な」曲となっている。
このアルバムではヴァイオリニストのムターが、これまたカラヤン/ベルフィルに負けないくらい重厚な演奏をしてくれている。
音が何層にも折りたたまれ、深く、厚い曲をじっくりと大人の時間に聴いてみる。
演奏者たちの呼吸の音まで聞こえてきそうな演奏は、私たちが、まさに今、生きていることまでを実感させてくれる。
BGMとしては不向きな曲だ。
音楽と対峙して聴き込むほどに、味わいのある曲になっている。
たまには、そんな音楽もいい。
僕は何と言っても、ソロのヴァイオリニスト(このアルバムではムターだが)が、オケの演奏に入ってい来る瞬間が大好きです。
●ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調
●ブラームス : ヴァイオリン協奏曲ニ長調
収録されている曲
バイオリン協奏曲ニ長調
作曲: ブラームス
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団, ムター(アンネ=ゾフィー)
指揮: カラヤン(ヘルベルト・フォン)
バイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調
作曲: ブラームス
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団, ムター(アンネ=ゾフィー), メネセス(アントニオ)
指揮: カラヤン(ヘルベルト・フォン)
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